世界地図を読みながら

地球を動き回ってないと落ち着かない日常

シルクロードの旅④ カシュガル

新疆ウイグル自治区の都、烏魯木斉からは寝台列車で到着。

 

ウイグルの朝

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烏魯木斉鉄路局の客車はカーテンがシルクロード柄。

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中央アジア風の建物を眺めていたらもうすぐカシュガル。

新疆ではローカルタイム(新疆時間)は北京時間より二時間遅い。

この列車のカシュガル到着は10:28は北京時間、

新疆時間だと8:28なので朝の到着。

カシュガル到着

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カシュガル到着。烏魯木斉は漢民族の方が多い中国の街だったが

この街はウイグル人が大多数を占めると言われている。

 

まずは改札では手荷物検査。

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防犯カメラが睨みを利かせる改札口。警官が乗客を呼び止めて荷物や携帯電話を確認ししている様子も。ちなみに外国人の私たちはスルー。

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改札口を抜けてもまだ市街地に出ることは出来ない。乗客は鉄柵でできた回転門をくぐらなけらばならない。完全に管理された区域である

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国内旅客通道と国〇旅客通道(国際と書かれていたと考えられる)。

私は文字が読めないふりをして国内の方に入る。すると室内には身分証確認機と手荷物検査機があった。やはり、私は国際の方に行けと言われた。

 

通り抜けるとまずは尋問があった。

国家警察とカシュガル市警察の2人の警官に呼び止められたのだ。

国籍、目的、期間、入国地、ビザ…すべて中国語で尋ねられた。

警官はその内容をスマートフォンアプリに打ち込んでいく。

途中「旅游(旅行)」のピンイン入力ができず国会警察の上司からからかわれていたのは印象的だった。市警の警官はまだ若く20代の青年だったのだ。あたりを見渡すとほとんどがウイグル人の警官である。ウイグル人がウイグル人を監視する社会…

 

そして、私たちはパスポートを胸の前に持つように言われ全身を撮影された。

それは、拒むことのできない、強制力の持った尋問であった

烏魯木斉ではほとんど自由に行動できたのにカシュガルに入った瞬間このような仕打ちである。先が思いやられる。

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駅の向かい側にあったバスターミナルの食堂。店の出入り口が柵で覆われている。

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市街地まではタクシーで。途中、道路全体を映せるような防犯カメラ群。

大通りである「世紀大道」には中国国旗が並び、白と青の便民警務站も並ぶ。

 

宿泊するホテルはカシュガル電視台の向かい側にある「新徳商務酒店」

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ツインルーム2泊で393元(6500円ほど)。朝食付き。しっかりしたホテル。

ウイグルでは宿泊拒否に合う例や外国人は泊まれないホテルも多いと聞いていたので外資のBooking.comから予約。

 

カシュガル散策

宿で少し休憩した後はカシュガル散策へ。

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相も変わらず中国国旗がはためいている。

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路地の中の一軒のお店でポロを食べる。烏魯木斉で食べたものとは違うタイプ。

焼きめしのようなポロでした。

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驢馬に曳かれるおじいさん、道端で売られるナン(パン)や果物。

中央アジアぽい雰囲気で、そういう意味でも別世界である


古城地区

カシュガルには古城と言われる昔風情の建物が残っている。

「千年古城」と言われるほど古い建物群である。

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商店前ではザクロ、ハミ瓜、ブドウといったシルクロードの果物を売っていたり、

羊肉串やポロを炊いていたり。牧歌的な雰囲気が広がっていてまさに楽園

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古城地区の地図。

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美しい古城に交番や警官が映り込む景色も頻繁にみられる

そしてもちろんこの地域にも防犯カメラは多数設置されている。おそらく死角は無い。

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美しい地域だが全く人気が無い。

そしてどれも同じような建物だ。それはこの区域が再建だからである。

美しいコンクリートの建物の上からレトロ調の塗装を施し、昔の扉等を再利用している。観光向けの古城なのだ。

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また歩いている人は殆どが老人か女性、子供である。

イスラム教徒の帽子を被る人は老人しかおらず、ひげを伸ばしている人もいない

閑散とした古城地区だった。

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新疆最大・エイティガール寺院

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新疆最大のモスク「エイティガール寺院」

「アッラー・アクバル(アッラーは偉大なり)」の額縁は外され、塗装もところどころ剥がれている。そしてモスクの象徴である月は外され、中国国旗に代わっている。

(ここは翌日訪問するので今回は詳しく触れない)

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モスク前広場は警官が厳しく監視に当たっている。

ウイグル人がモスクに入る様子は見られなかった。

 

古城地区(東側)

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路地にも防犯カメラは設置されている。

カシュガルの古城は非常に広い。その中でもこちらの地区は衝撃的だった。

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廃墟となっているイスラム学校。

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愛党愛国のスローガンが掲げられたモスク。

このモスクもまた月は外され中国国旗に代わっている

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通りを巡回する警察車両。

カシュガルの街は宗教色が意図的に消された街であった。

 

高台民居

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カシュガル古城地区で唯一残っていたかつてのウイグル人の住居「高台民居」は破壊が始まっていました。

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出入り口にはこのような看板があり入ることができなかった。

改装のため入ることができないようである。

 

しかし、まわりを歩いていたらたまたま入ることのできるところがあったので、

静かに入場。

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古い土でできた建物群は赤いスプレーで×が打たれ、ところどころ生活の跡が残っているような場所でした。権力が住民を強制的に移送したんだろうなということが想像できます。

解体作業中なので労働者はいたようですが観光客を始め人気は全く無い場所。

恐怖心に襲われながらの「探検」でした。

ウイグル人の伝統的な住居を解体して観光客向けの古城を建設するのでしょうか。

 

カシュガルバザール

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カシュガルのバザール。衣料品や食料品、絹製品などが売られていました。

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ここで興味深かったのは、出入り口が数か所に限定され、ほとんどが封鎖されていたこと。かつてはどこからでも入れたであろうバザールも、治安維持のためか数か所の出入り口では身分証検査、手荷物検査をしないと入場できませんでした。自由のない場所だ。

 

カシュガルの夕方

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住宅地は子どもが遊んでいて、普通の風景も残っていました。

彼らは今後無事に過ごせるのだろうか。 

 

長い一日の締めはラグメン。

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私がウイグル料理(中央アジア料理)で一番好きなのはラグメン。

新疆のラグメンは絶品と聞いていたけどやはり手延べ面の柔らかさと具のバランスも良くて最高においしかった。

 

カシュガル初日はこんな長い長い一日でした。

カシュガルは楽園のように牧歌的で思い描いていた中央アジア、シルクロードの趣が残る一方、烏魯木斉と比べ治安維持の力は強く、街に活気は無く、これが弾圧なのか…と思わせる光景が強かった。

 

続く。