世界地図を読みながら

地球を動き回ってないと落ち着かない日常

課金する人生

卒論の提出が一週間後に迫っている。実は単位は必要分はほぼ取り終えていて、

4年生の後期は卒論を出すだけが私のやるべきことだった。

9月の終わりから大学が始まったのでずいぶん余裕はあったはずだが、

いつの間にか(旅行をしていたら)こんな間際になってしまって笑えない。

 

いつもいつも余裕のない人間である。

 

さて、東京に進学して4年になる。

この街で私が一番頭を抱えているのは

電車の混雑である。

 

東京の電車は

四六時中混雑している!

電車の中でご飯をつまむなんてもってのほかだ。

(ちなみに私の生まれた街は郊外電車の果てだったので平日のラッシュは混むけれど、

昼間なんてテーブル付きのボックスシートで優雅にお弁当を食べられるくらいに空いていた。)

 

昼間に電車に乗っても座れないことはままあるし、朝夕の帰宅ラッシュの時間はまるで家畜のように車両に詰め込まれて、息をひそめながら過ごすしかない。

人の隙間から見える東京の景色はときに美しく光っていたりするけれど、普段は本当に過酷な時間だし無駄な時間だと思う。

 

だから空港に向かうとき(基本的に朝夕が多い)は一番近いターミナル駅まで一駅、各駅停車に乗ってそこからリムジンバスに乗っている。

地下鉄、JR、モノレールと乗り継げば定期も持ってるし安いけれど、首都高経由で速くて、必ず座れるリムジンバスに落ち着いてしまう。+500円。往復なら+1000円。

それでも一駅は通勤電車に乗らないといけないし、大きな荷物を持っていたらどうしたらいいんだろうといつも不思議に思う。優しくない世界だ。

 

関東の人は当たり前だと思っているかもしれないが、

東京圏は日本中を探しても珍しい世界で、東京都心から何十分電車に乗っても郊外にならない。通勤圏が続いている。

名古屋なんて30分も走れば山が見えてくるのに東京はいつまでたっても街が続いている。旅行気分で電車に乗ってみても、車内の空気が緩やかになるのはだいぶ先だ。

上り電車の場合もそうで、高崎から乗る時は大宮ぐらい、熱海から乗ると平塚あたりから人が増えてきて、都会の電車になってしまう。

 

車内に人が増えるとおちおちジュースも飲んでいられないし、ボックスシートと言えど食べ物をつまむのも憚られてくる。そんな電車に乗らないと都会を脱出して田舎に行けない東京は息苦しい。

名古屋圏や関西圏は東京ほど街が連なっていないので電車に乗るときはある程度座れる。そして座席は横向きのクロスシートだ。

だから「課金」しなくても普通に快適に移動できるしご飯も食べれる。

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JR東日本の普通列車グリーン車

最近、経済的にも、体力的にも大人になったからいつもグリーン車か特急電車を使っている。前までは特急券安く抑えるため鈍行にずっと乗ろう!とか普通列車の自由席で我慢しようと思っていたけど大学生も後半になるとリクライニングシートではないと許せなくなってきた。移動は上質にってのもあるけど、忙しない都会の電車空間から離れたいのだ。+980円。土休日なら+780円。

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JALクラスJ(これは国際線機材)

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ANAの非常口座席。LCCも広さは変わらない。

ちなみに飛行機に乗るときもついついクラスJやLCCの非常口座席に課金してしまう。+1000円。足元の広さは正義なのだ…!

あと足元の広い一番前と非常口座席は機内サービスの始まりになることも多く、素早く飲み物を受け取れる&機内食を注文できる特典や早めに外に出られるので実質価格はさらに安い。

JAL、ANAの場合非常口座席は上級会員やマイレージ会員限定の場合が多いので、そこを狙って予約するのもあり。課金0円で広い座席をゲットできる。

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N700系新幹線グリーン車。こだま号なら東京名古屋は9000円でグリーン車使えて安い。

 新幹線でも並ぶ時間がもったいないの&座れるのか不安なので必ず指定席を予約する。あと、たまにはグリーン車(こだま号)も利用する。この場合、普通の人は課金感覚だけど私は課金サービス(EX予約、e5489等)を利用しているので指定席料金は自由席の通常価格より安い。+0円。むしろマイナス。

(基本的に東海道山陽新幹線しか乗らないので東日本の新幹線には乗らない)

 

東京では電車だけでなくて、街の中の座る場所も少ないからカフェに行かないといけないし、スーパー銭湯も人口密度が高いわりに料金も高い。他の地域では「普通な」「当たり前な」水準を保つためにも課金が必要な場所になっている。

 

課金を強いる東京という都市には不満しかないけれど、

私は、移動サービスならば課金するのは厭わない。

不快な空間で我慢するのは課金をする以上に損をしていると思うからだ。

 

そして何より課金サービスを利用するのは面白い。

通常の自由席、無課金座席は最低価格で利用したいから右から左まで様々な人が乗り込んでくるけれど、上位クラス座席には何も考えずに最低価格で乗りたい人が最も嫌うであろうお金を余分に払う「課金」行為をしてまで快適な空間で過ごしたいと思う人がやってくる。今日は特別な気分でいたい人、年齢層が高くて身なりのいい人、お金持ちそうな人、ひたすらに寝たそうな人…大学生の姿を見かけることはあまりないけれど、自分の置かれている世界からちょっと背伸びした感覚が非常に好きだ。10年後、20年後も変わらずこの場所にいたいな、とモチベーションまで与えてくるわけで「課金」は決して高くないのだ。

そんな言い訳を考えながら今日も私は課金する。

財布の中身には目を伏せて、クレジットで。