世界地図を読みながら

地球を動き回ってないと落ち着かない日常

江戸城の門をくぐりながら

大学を卒業した。

 

思えば四年前、これまでの人生で数回しか来たことが無かった東京に引っ越してきた。

東京、といっても大学は世田谷区にあり、私は多摩地域から京王線で通っていた。

東海地方で過ごしてきた私にとって東京、という場所は憧れというほど強い感情を持ってはいなかったが、名古屋や大阪とは違った「首都」として、特別な感情を持っていた。

東京は人が多い、ビルばっかり、冷たい・・・といろんな話を聞いていたから少しばかり怯えていたけれど、実際に住んでみると大して違和感はなかった。

もちろん東海地方の言葉は通じないし、個人の習慣は全然違ったので最初のころは慣れなかった。

 

東京は変わった場所だった。朝夕のラッシュの電車にはすでに満員なのに、それでもなお特攻していく人たち。レストランや居酒屋の隣の席との間隔が異様に狭かったり、外国人を沢山見かけたり。夜の24時を過ぎても電車や駅前は人の流れが絶えず、ネオンが煌煌と輝き続ける歌舞伎町。

また、東京の人たちは、ほかの地方の人と違って、すべてがそろっているために首都圏から出たことが無い人が多くてあまり話が通じなかった事には驚いた。日本全国の人はキー局が東京なこともあって東京のことはある程度知っているのに、東京の人は他の地方に興味すら持っていない…

大学の講義でモスバーガーは戦略的にどこに出店しているか問われて、国道/バイパス沿いと答えたときに失笑されたことはいつまでたっても忘れない。

日本の中心でありながら日本の標準とはかけ離れた街、に感じた。

 

とはいえ東京の暮らしは楽しかった。

日本中、世界中の料理が食べられるくらいにレストランはたくさんあったり、名古屋をいくつ束ねたのだろう、と思うくらいにお洒落なお店、便利なお店が揃っていたり。

飛行機は日本全国まで直行便が飛び、成田空港からは国際線が小さな国まで飛んでいたりと便利なことこの上なかった。

ただし、貧乏学生にとって「消費」することによって快適に過ごせる東京で過ごすのは大変で仕方がなかったけれど。

 

桜の咲く江戸城内で卒業式を終えて、西へ向かう新幹線に乗りながらそんなことを考えていた。車窓にはうっすら富士山が見える。東京からよりもずっと大きく。

 

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