世界地図を読みながら

地球を動き回ってないと落ち着かない日常

旅をするときに気を付けていること

私はよく旅に出る。一人で行くこともあれば友人と二人で行くこともある。

日本国内や台湾のような近隣の国も好きだけど、やっぱり誰も行ったことのない国に行きたいなあという思いが強いので、一般の人から見ると変わった国に行くことが多い。

ロシア、ウズベキスタン、イラン、モルドヴァ、、、字面だけ見るとおどろおどろしく感じる国が大好きだ。

そういう話を友人にすると「治安が悪そう」「私は(君が行く国と比べて)先進国に行きたい」「全く羨ましくない」と散々な反応をいただく。最近はずっときれいな写真をインスタに挙げているので、友達の中にウズベクやロシアに行く人が出てきたが、大体はそんな感じだ。

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4年くらいこういうことを続けていると分かることがある。

それは一般的な日本人にとって、同じ民主主義を共有する欧米(西欧、ここにロシアや旧社会主義各国は含まれない)こそ全てが優れた国で、テレビではマイナストーンで取り上げられることの多いロシアや社会主義国は「遅れた」「治安の悪い」「貧しい」国というイメージが先行していることだ。

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ちなみに、ロシアや旧ソ連の国々は遅れてはいない。と思う。

もちろん日本のように清潔ではないけれど、インターネットの活用や宿やカフェの運営などずっと進んでいる場合もあるし、社会の仕組み自体が違うため一概に比較できない。治安に関しては気を付けていれば「普通」なことが多いと思う

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そんな私が、その「遅れた」国を旅するときに気を付けていることを紹介したいと思う。もちろんすべての国で気を付けていることだが。

 

 

①下調べをしっかりすること

これは一番大事。私は必ず旅行記などで行く場所の地理や雰囲気を確認している。旅行に行く前にその場所のことをうっすらでも知ってしまうのは先入観が生まれて嫌だ!という人もいるかもしれないがこれは必ずしている。私が特に注意をしているのは、その地域の電車・バスの乗り方(宿への行き方)、物価(ぼったくられないために)、そしてスリや詐欺の手段だ。あと必ずオフラインマップをダウンロードしてSIMカードが無い状態でも安全に宿に着けるようにしている。

一番大切だと思うのは宿(安全地帯)への行き方。とにかく宿へ着けば安心することができる。鉄道駅や空港は旅行者を虎視眈々と狙うならず者が多いから、情報を持たず彼らと対峙することは危険だ。

次に気を付けているのは、スリや詐欺の手段。例えばトルコのイスタンブールでは旅行者を装って英語や日本語で近づいてきて、カフェやバーに誘われ、一件目では奢られ安心させたところで、ぐるになっているバーに連れ込み10万円以上巻き上げるという行為が横行している。私はこの情報を知っていたため、トルコで近づいてくる人に対しては最大限会話を引き延ばした挙句、日本に帰るからと撒くことができた。ちなみに彼はカっとして唾を吐いて帰っていった。

どこの国に行くにしても下調べは重要だ。私は数か月前から着々としている。「地球の歩き方」が一番安くて便利。(長距離旅行には向かないけれど)あとは外務省の「旅レジ」に登録をして情報を収集すること

 

②予定は昼間に

これは予定を立てる段階での話だけれど、なるべく到着や出発は昼間の時間にしている。夜行列車や夜行バスや夜行便の方がスケジュール的に助かるのだけれど、早朝や深夜になると街の人通りは少なくなるし、駅や空港の雰囲気は悪くなるし、何より暗いと安全レベルが下がる。そのため、なるべく移動は昼間に行って、不安定な時間帯に出歩かないようにしている。日本でだって自分の街でなければ結構怖いのに外国ではもっと難しい。小さい頃親から何度も言われたようになるべく明るいうちに移動をすること。

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夜のトビリシ駅。既に怖い。

 

③貴重品は肌身離さず

現地に着いてからこれは一番大切だ。日本人はまだ家電や日本車で世界を席巻していた時代の名残からか、皮肉なことにもお金を持っていると思われている。まぁ中央アジアでは大体月収が300ドル程度ともいうから半分正しいのだけれど。貴重品の中でも命の次に大切なパスポートとクレジットカードは何らかの方法で体に巻き付けている。寝台列車で盗まれないためにも念には念を入れて。それとダサいのだけれど、ウエストポーチを使ってスマホや手帳なども体に繋げている。これは賛否両論あるが私は体から話したくない。最後に絶対に現金を見せたくないので、支払いの際は財布をすぐにしまう。もしくはお札だけポケットに入れている。日本人は習慣としてレジで財布をずっと出しているけれどそれは危険だ。

 

④必ずSIMカードを買う

これは私が必ず気を付けていること。SIMカードは国によって高かったりするけれど、どれだけ高くても必需品、保険だと思って買っている。なぜかと言うと、もちろん下調べをするのに便利、というのもあるが、今日本でスマホが無いと暮らせないように、ほかの国でもスマホ検索、ネットサービスが普及していて、スマホを使えば経路検索やお店のレビュー、メニューを見ることができてスムーズに旅ができるからだ。正直使わない意味が分からない。そして一番大切なのは、自分の居場所がわかること。スマホにはGPSがついているから、自分の居場所がわかるし、友人にリアルタイムで知らせることもできる。旅をしていて一番怖いのはバスの降りる停留所がわからないこととタクシーに乗ること。前者はグーグルマップを見ていれば解決できるけれど、後者は本当に怖い。見ず知らずの人の運転で右も左もわからない街を進むのだ。本当に目的の方向に向かっているのか、ちゃんと適切に走っているのか不安は尽きない。タクシーの運転手による殺人事件や強姦事件なんて多発してるし正直、信用していない。何かあったらすぐい逃げるためにもGPSは必要だ。

そのSIMカードもできれば電話番号付きがよい。すぐに日本大使館に電話できるし、知らない人に絡まれても電話をして、知り合いがいるアピールをすることができる。

 

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Beelineは旧ソ連圏の携帯事業者

 

⑤現金は持ち歩かない

現金主義の方の考えが本当にわからない。それは国内でもそうだけれど、正直大金を持っていて落とすリスクを考えると、カードの方が安心だ。カードならすぐに止められる。だから私は現金を持ち歩かずカード中心に利用している。外国では現金はほぼ持ち歩かず、日本円はいつも1000円くらいしかもっていない。現地に着いたらカードキャッシングをすればお金をおろせるし、今なら大抵の国でカード決済も使える。もちろんカードを落としたり忘れたり(私は以前モルドバのATMにカードを忘れた)するから何枚も持っているけど、大金を持ち歩くよりずっと安全だと思う。

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ウズベキスタンは世界遺産の神学校の中にもATMがある。

 

⑥治安が悪いと感じたらすぐ戻る

これはかなり気を付けている。治安、といっても様々な指標があるが、私は、旅行者が来る場所でない場所には入らないようにしている。生活感があるとも形容される場所は、大体旅行者が入り込んでよい場所ではない。日本で考えると、団地や住宅街に外国人が迷い込んで歩いてくるイメージ。そういう場所は、警察の監視から外れている場合も多いし、秩序を形成するのは住民の側であり、私の意志が効かない場所には入ってはいけない。何が起こっても外からはわからないからだ。大体、その場所の暗さ、清潔さ、臭い、人通りの少なさなどで判断している。その第六感は過敏すぎる状態にしておいて少しでも違和感を感じたら離れるしかない

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オシュの市場の近く。住宅街や市場周辺は注意が必要だ。

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夜の住宅地も怖い。

 

⑦カメラ/スマホはTPOに応じて

これは発展途上国ならではかもしれないが先進国でもいえる。人が多く集まる場所=盗難が発生しやすい場所ではどれだけ写真を撮りたくても我慢している。その後に、目をつけられたり、襲われたりするリスクがあるからだ。サハリンでは一眼レフを首から下げていたらかなり目立っていた。スマホもそうで、発展途上国の場合スマホも一つのステータスになっていて、アイフォンなんか超高級品だ。私はアイフォンではなく台湾製のスマホだけど、高値なことに変わりはないのであまり人には見せないようにしている。あと、シャッター音がうるさいと目立つので私はシャッター音のならない台湾製を使っている。それと、カメラやスマホを見ず知らずの人に渡すのは危険。あと鳩を載せてきたり、着ぐるみと撮影をするようなイベントは要注意。外国では人の介するサービスは悪質でも基本別料金だよ。

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観光地では怪しい着ぐるみや中世服飾人には要注意

 

⑧宿は最後の避難場所

外国の、とりわけ知り合いのいない場所では自分の身元引受先はホテルになる。なにか面倒ごとがあってもそこへ逃げ込めば助かる最大の安全地帯だ。そのため私は必ず普通以上のホテルに宿泊している。泊まるホテルも、路地裏だとか看板のないホテルはたどり着くまでに苦労するので、必ず通りに面していたり、通りから近い、看板のあるホテル、ホステルにしている(ストリートビューで調べてる)。そして泊まっているホテルは誰にも教えない。自分の家を見ず知らずの人に教えないように、ホテルも絶対に教えてはならない。私は、以前イランで仲良くなったオジサンに宿を教えたら、同じホテルまで押しかけられて非常に怖い思いをした。宿で安心できなくなったらどこでも安心できない

また、フロントのスタッフは概ね味方なので、タクシーやレストランの予約も頼んだりする。少し高いかもしれないが安心を買うのだ

それと私は一人部屋でないと寝れないのでいくら高くてもシングルルームなどの個室を予約している。睡眠の質を確保する目的の他、貴重品を盗まれるのが本当に怖い。友人にはヨーロッパのドミトリーでバックの中にお金を入れていたら盗まれた人もいた。自己責任な気もするけど、盗難を考えたら個室の費用も保険代みたいなもんだ

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カウナスのホテルメトロポリス

 

⑨言葉を勉強する

私は少しだけロシア語を勉強していて、ロシア語圏を歩くことが多いので感じるのだが言葉を学ぶことはとても大切だ。台湾や中国など漢字圏や英語圏なら看板やメニューの意味も簡単にわかるけれど、それ以外の場所に行くと、街の情報を読み取るためにはピクトグラムか英語併記からでしか情報を読み取れない。そして道や情報を聞こうにも英語などがわかる親切な人に依存しなけらばならない。つまり私たちは言葉のわからない障碍者となっているのだ。教えてくれる情報が間違っている可能性だって否定できないし、なにより見知らぬ国での情報を他者に頼るのは怖すぎるあくまでも自分で情報を読み取り判断していくため言葉を少しでも理解するのは大切だ。情報を得て、それを適切に活用していくことは安全を担保する上で重要だ。

友人にロシア語が分からずロシアを旅行した人がいたが、彼は言葉は何一つわからないが、周りの親切や雰囲気に流されていったら「何とかなった」と豪語していた。何をそんなにうるさく心配するんだと。でもその親切が正しいなんて誰がわかるんだろうか「運がよかった」のと「何とかなった」のは違う。あくまでも私自身で安全は確保するべき。

まぁ私も英語しかわからない状態で旅をすることはままある。その時はなるべく現地語の挨拶だけは覚えている。

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イランはペルシャ語が分からなさ過ぎて泣いた。怖かったのでペルシャ数字だけは必死に覚えた。

 

⑩服装はダサいもので

正直日本でもおしゃれとはいいがたい服装で過ごしているけれど、外国ではとりわけダサく過ごしている。日本だったら大学にすら行きたくないような恰好だけれど、やっぱり観光客には見られたくないのと、お金を持っているように見られないため

あと、あまり衛生的ではないバスやタクシーに乗ることも多いので服が汚れてもいいように、あまり気にしない服を着ていく。日本に帰ってきて写真を見返すと後悔することが多いけれどまぁ仕方ないこと。

 

⑪空港/駅送迎は高値でも安心を買う

違う場所に行くインターシティやインターナショナルの列車や飛行機に乗る際は、鉄道駅か空港に行くことになる。その際に、地元民向けのバスや鉄道に乗っても行けるけれど、なるべく私はタクシーか空港鉄道を利用している。荷物が多いのもあるけれど、到着するのは夜の場合が多いし、知らない町を歩きまわるよりか直通で宿(安全地帯)まで運んでくれるタクシーの方が結果的には安全だし、安心だと思うから。また、旅程が崩れるとそれを回復するためには多大な出費を要するので、必ず乗れるように。

これは食堂/カフェ/レストラン問題にも言えて、雰囲気の悪い安い食堂に入るよりも少し高くても安全な場所にお金を積んではいることは必要なこと。あくまで私たちは見ず知らずの場所にいる観光客だ。

ただし、空港や鉄道駅などはぼったくりタクシーが沢山手ぐすねを引いて待っているのでなるべく公式のタクシーカウンターや配車アプリ(UBERやヤンデックスタクシー、スナップ等々)で頼むのがよい。白タクは危険。

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モスクワのアエロエクスプレス

 

⑫権力や怪しいものには近づかない

一番近づいていけない、触れてもいけないものは警察や軍隊などの公権力だ。

警察の場合、外国籍も含めて国民の自由を制限することのできる存在だ。外国に入国した場合、私たちはその国のルールに従わないといけない。日本では許されていてもその国では許されていないかもしれない。私たちは、恣意的に法律を運用するかもしれない警察には触れない方が賢明だと思う。大体どこの国に行っても警察の評判がよくないことがそれを裏付けている。

また、友人の中には喜んで軍関係の物品を買っている人もいるけれど私にはあまり理解できない。日本では自衛隊(軍隊)はフレンドリーな存在となっているけれど外国ではそうではない。尊敬される存在で軽々しく触れてはいけない場合が多い。以前イランで友人はイラン軍の帽子を買って被っていると市民から敬礼されて喜んでいたが、すぐに良識のある人にこっぴどく叱られた。権力を持つ人しか着用することは許されていないからだ。日本の場合、権力と市民との垣根が割合低くて、まともな運営がされていると思うが、すべての国がそうではない。君子危うきに近づかずだ

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ウズベキスタンのパトカー。あまり積極的に撮影してよいものではない。

私はこのようなことに気を付けて旅をしている。正直気を付けすぎかなと思うこともあるが、これくらいしないと安心できないし、むしろ不十分だと感じている。

とりわけ気を付けているのは自分の意思をはっきりすること。したいこと、したくないことははっきり言語化すること。日本だとあいまいな表現でも生きていけるけど旅をしていると、自分の利益は自分で確保しないといけないのでそこは必ず。

そのように気を付けた上で、十分に睡眠をとって、正常に判断ができる状態で旅をしている。旅をすると本当に疲れるし、大変なことが多い。今回文章に書いてみても、足りないくらい気を付けている。バックパッカーってそんなにキラキラしたものではないし、これくらい泥臭くてめんどくさいものだ。それでも何度となく繰り返してしまうのは、見知らぬ街や国を歩いていて楽しいからだろう。

今後も楽しく旅を続けていきたい。

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